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「コロナ感染 クルーズ船、どの国が責を負うべきだったのか?」

2020/04/20

世界中で新型コロナウイルス感染がニュースになる中、先日、ウクライナで、コロナウイルス感染の危険地域(中国)から帰国する国民を受け入れないよう抗議するデモが起こった。

武漢から帰国した人々は6台のバスに乗り換え14日間の隔離を受けるべく、ノヴィ・サンザリー村の病院に向かったが、これを阻止すべくデモが起こり、バスには石が投げつけられた。
ほとんどは、同じウクライナ国民だったというのに。。。

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(写真はロイターから)

主人は「かの国の医療のレベルと検疫の有効性を考えたら、仕方のない反応かもしれない」とクールだ。
でも、それは悲しすぎる。

日本では、危険を覚悟で、帰国した人々を勝浦の民間のホテルが受け入れた。
地元住民はホテルに篭る人々のため、周辺で竹灯籠を灯したり、「負けるな!あと少し!」と砂文字を書いたりして、不安にかられる人々を心から応援した。
子供へ絵本が送られ、地元の大学生たちが和太鼓を演奏するなどもした。

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(写真は東京新聞より)

そして、そこで二週間を過ごした人々がホテルを離れる際には、多くの日本人が見送りに来て「お疲れ様!」「頑張りましたね!!」と声をかけたではないか。

宿泊者のためにおられた折鶴などに、宿泊者もまた、「応援、ありがとうございました」と応えた。

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(写真は共同通信より)

その光景と、ウクライナで、自国民の帰国者すら村の病院に入るのに反対する抗議行動を起こす人々の姿は、あまりにも対称的だ。

日本に生まれて良かった。日本人で良かった。そう思う。
互いに支え合う伝統のある柔らかな社会。
文化と医療のレベルの高さの二つがなければあり得なかったことだろう。

世界の報道を見ていると、日本はつい最近まで、「中国に次いで感染者の多い国」という不名誉な枕詞で世界のニュースで紹介されたが、そういう時、明確にして欲しかった事実がある。

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「ダイヤモンド・プリンセス」は英国籍の船であり、アメリカの船会社が運営しているものだということだ。

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国連海洋法条約では、公海上の船には、船籍国である英国が排他的な管轄権を持つ。

のちに感染が判明した香港住民が香港で下船した1月25日前後から感染は広がり始めていたとも見られ、もし、この時点で、英国や、米国の船会社が早めの対応を取っていたら、ここまで悪化することはなかったろう。

極論を言えば、この時点で「日本は入港を拒否」することも可能だった。

もちろん乗客の大半は日本人だったのだから、日本が受け入れ、感染対策の責任を負ったことには全く異論はないが、英国やアメリカに、その処置に関し文句を言われる筋合いはないと思う。

特に、今回のウイルスに関しては、最初は「ヒトからヒトへの感染は見られない」という誤った情報やいまだに不明な点も多く、どの国でも、現在ですら手探り状態で対処を余儀なくされているのだから。

アメリカでのルート不明の感染や、イタリアでの感染者の急拡大を見れば、日本が「非常にまずい対応をした」とは言えない。

シェンゲン条約通りに、EU内での人の移動は自由なままにしておくとしたEUでは、これから新型コロナウイルス感染は大問題になることが予想される。現在のヨーロッパの感染はほぼ全てイタリアとの関係性があるとされる中、イタリアと東ヨーロッパのEU内部での溝も深まりかねない。

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(写真は共同通信)

日本の対策について、乗客全員に直ちに検査をすべきだった、という感情論は理解できるが、「検査キット」の数は限られており、そのデータを分析できるラボが無限にあるわけではないという現実を無視した理想論は虚しい。

今回、クルーズ船の中に4000人近くが乗船し、隔離されたことで、確かに「船内での感染が広がった」という事実は否定できない。

しかし、最初の感染が起きた日は特定できず、報道されているように香港女性から移ったのであれば、公海上だった可能性も高い。公海上での第一の管轄責任はその船の船籍国英国だったという判断も可能だ。

運営企業(米国)にも、責任の一端はあるだろう。

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国連海洋法条約では、衝突回避などの事態の想定はあるが、今回のような「ウイルス感染」のような事態は想定されておらず、はっきりとした取り決めがない。

今後、急いで、こういうケースのルールづくりがなされていかなければならないだろう。

最大の経験を持つ日本政府は当然、そのルール作りのイニシアチブをとるべきだし、また、今回あたかも、「中国に次いで新型肺炎の拡大が国内で起こった国」というある種の風評被害が広がったことに対しては大きな声で、世界各国に正しい理解を求めていくべきだと思う。

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