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「ゴーン被告、レバノンへ逃亡」

2020/04/20

だから警鐘をずっと鳴らしてきたのに——。カルロス・ゴーン被告の海外逃亡はまさに恐れていたことを証明した。

日本人は世界を知らない。日本人の考え方は甘すぎると。今回の逃亡は、日本人の「セキュリティに関する認識の甘さ」を見事に突かれたのだ。

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仏北部のルノーの工場を訪れた日産自動車のカルロス・ゴーンCEO(肩書は当時、2018年11月8日撮影、資料写真)。(c)Ludovic MARIN / AFP

東京地裁は、彼にパスポート1冊の携行を許し、条件付きながらも電話やコンピューターへのアクセスを許可していた。

4月にこの条件で保釈が認められた時点で、検察幹部は、「保釈の条件に実効性があるとは思えず、証拠隠滅の恐れがある」と裁判所の判断への不信感を表していた。

裁判所は、一流のビジネスマンである被告が海外へ逃亡するとは思いもしなかったのだろう。延130日間身柄を拘束したことに対する海外からの批判も念頭にあっただろう。

しかし、この保釈の判断は正しかったのか?

証拠隠滅の恐れ、共犯者との口裏合わせなどの恐れがある際に、世界的な著名人だからといって、特別な配慮をすることは正しかったのか?

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PR  レバノンの主要テレビMTV(電子版)は31日、カルロス・ゴーン被告が楽器箱に隠れ、日本の地方空港から出国したと報じた。出国に際し、民間警備会社のようなグループの支援を受けたとしている。情報源は明らかにしておらず、信ぴょう性は不明。レバノン紙アフバルアルヨウムも「警備会社を使い、箱に隠れて密出国した」と報じた。  MTVによると、このグループはクリスマスディナーの音楽隊を装ってゴーン被告の滞在先に入り、楽器箱に隠して連れ出した。映画のような脱出劇

カナダで拘束されているファーウエイの副会長である猛晩秋は、保釈中もGPSのついた電子足枷をつけられ、24時間監視されている。
少しでも監視に隙があれば、被告が海外に逃亡することは当然ありうる、との認識からだ。

一方、日本の裁判所は、ゴーン被告に GPSすらつけていなかった。

ゴーン被告はアメリカの証券取引委員会とは、報酬の過少表示問題で100万ドル(約1億1000万円)を支払い、和解している。

アメリカの目はごまかせないが、日本の司法なら裏をかくことができるとでも思われたのか?

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東京新聞より

ゴーン被告を乗せた小型のプライベート・ビジネス・ジェット機は関西空港を飛び立ち、トルコのイスタンブールに着陸。ゴーン被告は、30分後には他のビジネス・ジェットに乗り換えてレバノンに向かった。

ジェット機は、トルコ企業のもので、日本の要請により、パイロットを含む7人の関係者がトルコ当局に「逃亡を手助けした疑い」で拘束されている。

しかし、レバノン政府は、「正規のパスポートで入国したもので、犯罪者の引き渡し条約を結んでいない日本に身柄を送還することはない」としている。

現在ゴーン被告は自由の身で、妻と食事やワインを楽しみ、「日本の不公正な司法と政治的迫害から逃れた」とまで発言している。
自身の経験を映画にする準備までしているという。

日本の司法は、完全に政治から独立しており、レバノンの汚職まみれの司法と一緒にしていただきたくない。
ゴーン被告逮捕は東京地検特捜部の判断であり、政治の介入はなかった。

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無断出国した前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告について、厳しい表情で取材に応じる弁護団の弘中惇一郎弁護士=31日午後、東京都千代田区

おりしもレバノンでは、腐敗と行政能力のない政府への不満が高まり、10月1日からずっと民衆のデモが続いている。24時間の電力供給も保証されず、ゴミの収集も行われず、失業が蔓延している社会への、無能な政府への不満だ。
首相は退陣を表明したものの、民衆の怒りは収まっていない。

そのような状況下、現地ですら、「ビジネスの帝王」だったゴーン被告を庇おうとする政治家などとは対照的に、若者や民衆の間で「汚職の代表格」ゴーン被告への反発が巻き起こっている。

ゴーン被告は、報酬を有価証券報告書に過小に記載し、日産の資金を不正に支出させた特別背任の容疑がかけられている。サウジアラビアの知人に12億8000万円を販売代理店から不当に支払わせ、妻の会社などにも資金が流用されていた疑いがある。

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カルロス・ゴーン被告が所有しているとされるレバノン首都ベイルートの住宅(2019年12月31日撮影)。(c)ANWAR AMRO / AFP

最初は、逮捕に懐疑的だったフランスも、ルノーの内部調査で資金流用や販売代理店からの不透明な支払いを発見し、不正の疑いで調査を進めていた。

ルメール経済・財務省は、「ゴーン元会長はオランダでの疑惑をめぐり、(フランスでの)捜査対象となる可能性がある」と語った。これは「ルノー日産BV」を使って個人的な利益のために1千万ユーロ(約12億円)以上を支出させた疑惑だ。

ゴーン被告にはフランス国内でベルサイユ宮殿から不正な便宜を受けていた疑いもある。フランス当局はすでにフランス国内の元会長宅を家宅捜索するなど、捜査を始めていた。

日本での逮捕は東京地検が意地を見せての行動だった。しかし、ゴーン被告が帰国しない限り、日本では公判を開くことはできず、事件の真相は闇の中となる可能性が高い。

限りなく黒に近いグレーが、このまま闇に葬られるのか?
日本に住み、日本でビジネスを行い、おそらくは不正な、大きな利益を日系企業から受けてきた人間が、日本の法律で裁かれないというのはおかしい。

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カルロス・ゴーン被告/Eugene Hoshiko/AP

このような事態を招いた裁判所は、現実を直視すべきだろう。

そして、私たち、一般の日本人も、日本人の常識が世界の常識ではないこと、世界では日本人が想像もしないようなことが平気で行われている現実に、これを機会にしっかりと向き合ってほしい。

これから、ますます海外とのビジネスにおける交流は増加する。この流れを変えることはできないだろう。ならば、私たちはしっかり現実を見た対応をする覚悟を持たなければならない。

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