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【 トランプ大統領の「入国禁止令」の波紋 】【 The Ripples of Trump’s Travel Ban 】 English follows after Japanese  

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トランプ大統領が、1月27日に、まさかの「7つの国からの一時的入国禁止令」を出してから1週間が経とうとしている。

「イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの人々の入国を90日間禁止する。シリア人は無制限の入国禁止」という大統領令だ。

7つの国はいずれもイスラム教徒が大半を占める。

主な内容は、

1、 イラン、イラク、ソマリア、スーダン、イエメンからの90日間に入国禁止

2、 全ての国からの難民の120日間の受け入れ停止

3、 シリア難民の受け入れ禁止

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PHOTO: CARLOS BARRIA/REUTERS

 

この大統領令をめぐっては、アメリカ国内で抗議デモなどが、各地で起こっていた。また、海外からの批判も大きかった。

また、政府の中での連絡も十分ではなく、空港での混乱が相次ぎ、政権内部の連携の欠如も指摘されていた。

 

 

 

 

People chant and hold signs as they protest against the travel ban imposed by U.S. President Donald Trump's executive order, at Dallas/Fort Worth International Airport International Arrivals gate in Dallas, Texas, U.S. January 29, 2017. REUTERS/Laura Buckman - RTSXYF8

People chant and hold signs as they protest against the travel ban imposed by U.S. President Donald Trump's executive order, at Dallas/Fort Worth International Airport International Arrivals gate in Dallas, Texas, U.S. January 29, 2017. REUTERS/Laura Buckman - RTSXYF8

NewsWeekjapan

 

3日、つい数時間前に、ワシントン州シアトルの連邦地裁は「即時停止」の申し立てを大筋で認め、全米でこの渡航制限の差し止めを命じた。

「州内の住民や経済に回復不能な損害を与える」

「人種や宗教に基づく差別を助長するもので、憲法に違反している」と断じた。

 

 

ホワイトハウスは、即時抗告する声明を発表したが、当面大統領令は、効力を失うため、トランプ大統領にとっては大きな痛手となる。

この大統領令に関しては、各地で提訴の動きが広がっている。

今後は、政府と司法のせめぎ合いが続くことが予想される。

 

 

アメリカ国内の混乱ぶりだけではなく、この1週間のヨーロッパ諸国の動きは、興味深かった。

最初に動いたのはイギリス。

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BBC NEWS

 

EU離脱の旗頭だったボリス・ジョンソン外務大臣が、慌てて発表した。

曰く、「たとえ該当国の生まれでも、イギリスのパスポートを持っている人は除外措置になる。」

 

 

ヨーロッパには、二重国籍、三重国籍を持つ人はたくさんいる。

日本は、一つの国籍しか認めないから、ピンとこないかもしれないが、多くの国には、2つ以上のパスポートを持つ人々がいるわけだ。

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多重国籍を認めている国家多重国籍を認めていない国家データなし

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By NuclearVacuum - File:BlankMap-World-Microstates.svgこのベクターイメージInkscapeで作成されました., CC 表示-継承 3.0, Link 

 

どうやら、この「除外措置」は、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにも適用されるらしい、との情報が追って入った。

つまり、旧英連邦の国々だ。

 

しかし、その発言の「源」が問題なのである。

ロンドンにあるアメリカ大使館は、「『除外なく、7つの国の全ての出身者』が対象になるから、イギリスのパスポートを持っていても、注意するよう」と告示していた。

にもかかわらず、ジョンソン外務大臣は、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュネー氏と電話で話して、「除外」が保証された、としているのである。

正式な外交チャネルを使ったものではない。

 

このイギリスの動きは、実は、ヨーロッパでは大きなひんしゅくを買った。

当然だ。

 

フランス政府は、すぐに「フランス人であっても、7つの国のいずれかのパスポートを持っている人間は対象になるであろうから、渡米しないよう」呼びかけた。

 

ドイツだって、二重国籍の国民は、たくさんいる。

しかしメルケル首相は、「除外」など求めなかった。

敢然と、「アメリカの入国制限の大統領令には反対する」と発言した。

Angela Merkel (2008)

作者 א (Aleph) (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 2.5], ウィキメディア・コモンズ経由で

 

国内で高まる非難を受けて、英国のメイ首相も、2月1日、遅ればせながら、

「イギリス政府は、あの大統領令は「誤り」であるという立場だ。あのような政策は対立を生み、間違っている」と、明確に批判せざるを得ない羽目に陥った。

Theresa May 2015

By UK Home Office [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

 

国連は、「国際人道法に反している」「速やかに撤廃されるべき」と声明を出した。

 

民間では、アップル、グーグル、フェイスブックなどの、マルチ・ナショナルのIT企業がまず、反対の声をあげた。

週明けには、スターバックス、フォードや、ゴールドマン・サックス、 シティ銀行、コカコーラなどのトップが、「このような価値観は受け入れられない」と発言した。

彼らは、社員にも、顧客にも、該当国の国民がいる。

しかし、アメリカの大企業の多くは、コメントを避けている。

 

そういう中で、オバマ前大統領は、非常に興味深い2つの声をあげた。

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By Elizabeth Cromwell (http://chesh.org/barack/DSC_0007.JPG) [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

 

「これは、アメリカの価値観その物を危うくするものだ。」

そして、こうも言った。

「こういうやり方は、かえってアメリカを危険に陥れる」

 

まさにその通りなのだ。

イスラム過激派のテロが生まれてきた背景を考えて欲しい。

彼らは、「イスラム教徒が、世界で不公平な待遇を受けている。社会から疎外されている」という感情を根っこに持っている。

今回のような措置をしては、火に油を注ぐようなものだ。

 

イスラム教徒の大半は、真面目で優しい人達だ。

私にもたくさんの良き友人がいる。

 

90日間の入国禁止は、例えば、「テロとの関連が疑われる個人」に対するもので、説得力のある証拠があるなら、問題はない。

しかし、その国の全ての人、と言ってしまったら、それまでアメリカに反感を持っていなかった人々まで、差別されたと感じるに違いない。

イスラム教徒を差別するものではない」といくら、広報しても説得力はない。

おそらくは、90%(もしかしたら99%と言えるかもしれない)以上を占める穏健なイスラム教徒が、今後、アメリカの良き友人でいてくれる可能性は、うんと低くなる。

アメリカの今回の行動は、天に唾するようなものだ。自ら、「テロの標的にしてください」と言っているようなものなのだ。

 

どうやって、国民全体を「悪意を持った悪者」と決め付けることができるのか?

1億人を超える人々を差別的に遇して、アメリカに長期的に利益があるのか?

 

だいたい、なぜ、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国なのか?

どういう基準で選ばれ、何を目的としたものなのか?

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CNN.com

 

サウジアラビアは、これまで、アル・カイーダが起こしたテロとの関連を疑われてきたし、サウジが推し進めるイスラム法を理想とするワッハーブ派の教義こそが過激思想を生み出している、との非難も受けてきた。

しかし、そのサウジアラビアは7カ国に入っていない。

 

サウジと政策を同じくするアラブ首長国連邦( UAE )も除外だ。

「サウジとUAEは、トランプ氏とビジネス関係がある」、という指摘も一部でなされた。どうやら事実のようだ。

 

シシ将軍が軍政を敷くエジプトも除外されている。

 

どう考えても、トランプ氏の大統領令は、正当性にも、根拠にも欠ける。

これまで世界に、「自由」「法の下の平等」と言った「理念」を説いてきたアメリカの価値観はどうなったのか?

 

「理念」を放棄する、というなら、それも一つの在り方かもしれない。

「偉そうなことは言いません。損得勘定だけで生きていきます。」と言うのなら。

しかし、そういう道を選ぶのなら、この1世紀余り、アメリカが享受してきたソフト・パワー(文化や理念などによって引き付ける力)を失うだろう。

それどころか、新しい「反米感情」を世界中に撒き散らすことになる。

それは、「パクス・アメリカーナ」の息の根をとめることになるかもしれない。

 

しかし、今回の大統領令で、何より大きかったのは、「アメリカは、本当に信頼して良いパートナーなのか?」という疑問を 世界中の国々の人々に植え付けてしまったことだと思う。

 

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BBC NEWS JAPAN

 

トランプ大統領は、自分の意のままに動かなかった、イエーツ司法長官代行の首も、即切ってしまった。

今のアメリカでは、もはや、「三権分立」の基本さえ危ぶまれる。

 

今回ターゲットにされなかった国々、民族、宗教の人々にとっても、いつ、どういう形で、「火の粉」が我が身に降りかかってくるかもしれない、という不信感が芽生えてしまっただろう。個人も、経済人も、政治家たちも。

 

トランプ氏は「アメリカに栄光を取り戻す」としている。

 

かつて、ケネディ大統領は、「虎の背に乗って威張るものは、最後には虎の胃の中に収まることになる」と言ったが、それを例に出すまでもない。

日本でも、「太陽と北風」の寓話は親しまれている。

 

北風では、人はコートを脱がない。

脅してできることは限られている。しかも、決して長続きはしない。

 

政策の継続性が担保されなければ、長期的な投資は海外から入ってこない。

優秀な人材もアメリカには来なくなる。

同盟国は、疑心暗鬼にならざるを得ない。

 

こんな方法で、本当に、アメリカは「栄光を取り戻す」ことができるのか?

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pixabay.com

 

 

【 The Ripples of Trump’s Travel Ban 】

It has been a week since the president Trump issued the so-called Travel Ban on the 27th of January.

 

It baned people from 7 countries from entering the US for 90 days.
People from Iran, Iraq, Libya, Somalia, Sudan and Yemen will be banned from entering the US temporarily.
People from Syria indefinitely prohibited from entering the US.
Those 7 counties are all majority-Muslim countries.

 

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PHOTO: CARLOS BARRIA/REUTERS

 

This executive order triggered demonstrations across the US and a global backlash.

The confusions, which came to the surface, had also shown the lack of coordination among the Trump’s administration.

A federal Judge in Seattle put a nationwide block on U.S. President Trump’s executive order.
“The executive order adversely affects the states’ residents in areas of employments, education, business, family relations, and freedom to travel”
“This is against the Constitution.”

White House stated to appeal as soon as possible.
However, the executive order is now temporarily not effective, the damage to the Trump administration is already done.

I expect the struggle between the Judicature and the Executive will continue for a while.

People chant and hold signs as they protest against the travel ban imposed by U.S. President Donald Trump's executive order, at Dallas/Fort Worth International Airport International Arrivals gate in Dallas, Texas, U.S. January 29, 2017. REUTERS/Laura Buckman - RTSXYF8

People chant and hold signs as they protest against the travel ban imposed by U.S. President Donald Trump's executive order, at Dallas/Fort Worth International Airport International Arrivals gate in Dallas, Texas, U.S. January 29, 2017. REUTERS/Laura Buckman - RTSXYF8

NewsWeekjapan

There have been confusions not only in the US, but also out of the US.
How the European countries reacted to this ban is very interesting.

 

The fast move was made by the UK.

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BBC NEWS

 

The foreign secretary Boris Johnson, who was the leader of the Leave camp for the Brexit, assured the public that the UK citizens were exempt from the ban.

 

Because Japanese government allow only one nationality for its citizens, it might be difficult to imagine that most European countries have many people who have dual, or triple citizenship.
Later we learned the arrangements would benefit Australia, New Zealand, and Canada. All were the members of the former British Commonwealth of Nations.

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Countries by their ideals of Multiple (Dual) citizenship. Granted UngrantedData not available

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By NuclearVacuum - File:BlankMap-World-Microstates.svgこのベクターイメージInkscapeで作成されました., CC 表示-継承 3.0, Link 

 

The grounds on which U.K. the foreign minister assured their own citizens for the exemption were problematic.
The US embassy in London put the advice on their HP, that “ This executive order will have no such exemption.”
Mr. Jonson had a telephone conversation with Jared Kushner, Mr. Trump’s son-in-law and got an assurance from him.

This is very unusual, especially in circles of internationall diplomacy and diplomats.

This British approach earned it frowns from other European counties.

French government had advised its citizens who are also nationals of one of the seven counties that they would be targeted so that it would be better to avoid visiting the US for 90 days.

 

Germany also has many multi-nationals.
However, Chancellor Merkel would not dare to ask such an exemption, Rather she stepped up her criticism against the travel restrictions, and the mindset of Mr. Trump behind such unilateral actions.

Angela Merkel (2008)

作者 א (Aleph) (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 2.5], ウィキメディア・コモンズ経由で

 

After seeing the criticism rise in the UK, Prim Minister May finally made it clear that her government took the executive order as a mistake. And said such wrongdoing could lead the feud on the 1st of February.

Theresa May 2015

By UK Home Office [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

 

The UN also made a statements, “ This is against the international human rights laws ” and “ It should be removed as soon as possible.”

 

In the civil society, the multinational IT companies such as Apple, Google and Facebook spoke out against the restriction.

Then Ford, Goldman Sachs, Citi and Coca-Cola joined the tech groups to protest.
Chairman Bill ford said “ We do not support this policy or any other that goes against our values as a company.”

They have multinational workers and clients.
But most of big companies in the US kept silent.

 

The former president Obama made two good points.

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By Elizabeth Cromwell (http://chesh.org/barack/DSC_0007.JPG) [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

 

“ American values are at stake. ”
“ These are most sensitive issues. Most critical in terms of the security of our country.”

 

I perfectly agree to the later point especially.
Let’s think about the main reason that the Islamic Extremists had stared terror attacks in the beginning.

They felt that the Muslims had been treated unfairly in the world.
It is like throwing gas on the fire to the ban mostly Muslim people, even it could be temporarily.

Many of the Muslims are reasonable and nice people.
I have many good Muslim friends.

 

 

The radical extremists would be only a small subsetm.
The rest, however, would feel “ we are being treated unfairly ” after this executive order.
The saying, “ This is not a Muslim ban ” is not convincing.
The possibility that many people restricted by this travel ban would feel discriminated by the US is very high.

This is a dangerous self- inflicted action.
It is as if Mr. Trump is inviting the terror attacks to his own country.

What benefit does the new admiration expect to get by discriminating over 100 million people in the world?

 

I cannot figure out why he chose these seven countries.
What were the grounds?

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CNN.com

 

Saudi Arabia, whose connection with some terror attacks is often suspected, is excluded.
So are the UAE, Kuwait and Pakistan.
Some papers even write that one basis for exclusion from Mr. trump’s travel ban is that those nations have business connection with the president, although it is not confirmed.

 

Egypt is not included either.
Why?

 

I cannot see reasonable grounds to pick these seven countries.
What happened to the American values, which include “ freedom ” and “ equality under the law ” ?
The US has been pursuing such values around the world, hasn’t it ?

 

If it wants to get rid of such values, it is an option.
“We do not talk about such values any more, we just think about the merit.”
The US, however, would lose its soft power, which it has been enjoying in the world for about a century.
Instead, it is strengthened the anti-America sentiment all over the world.
It could be the clear end of Pax Americana.

 

The most serious damage done by this executive order is that it planted the disbelief about the US to many of the people and leaders of the international society.
Many of them are now asking, “ Is the US a reliable partner? ”

 

 

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BBC NEWS JAPAN

 

The president fired the acting Attorney General, just because she did not support the executive order.
Now, we are not sure “ the separation of powers ” is working in the US.

 

Mr. Trump has said he would make America great again.

 

“ Those that ride on the back of a tiger would end up inside it.”
We do not need to remember the phrase of John F Kennedy, we are familiar with the story of “ Northern wind and Sun Shine ”

 

With cold winds, you can hardly make the man to take off the coat.
What we can achieve with threatening is limited and never lasts so long.

 

Finally, money talks , and money walks.
If foreign investors cannot trust the continuity of U. S. policy, they would not invest in the US.
Many excellent human resources would not be attracted to the US.
The allies would become beset with doubts and fears.

 

Through this kind of setbacks and humiliations, can America regain its “Glory” again?

All nations, especially a large, diverse, developed nation is more than its leader’s personality, and more than the actions of a single branch of government.
However, the new American President has certainly made a splash in his first several days in office.
The question is whether his travel ban from seven predominantly Muslim countries helps or hurts America’s reputation at home and abroad.
Related questions are whether Mr. Trump foresaw the ripple effects from this ‘America 1st’ policy, and whether or not he cares that the ripple effects of his actions may not sit well with much of the world – whether the world he might be glad to wall out, or the remaining nations, that he might have wanted to keep as close friends.

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pixabay.com

 

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