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世界の今と日本

ダラスの銃撃 アメリカの抱える【人種問題】【銃規制】

2016/07/12

[:ja]
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アメリカ、テキサス州ダラスで、警察官ら、12人が撃たれ、5人が死亡した。犯人は立て籠もりの末、爆弾を積んだロボットの遠隔操作により、警察に殺害された。

この他にも、警官による黒人男性射殺の報復とみられる警官を狙った銃撃事件が、ジョージア、ミズーリ、テネシーの各州で相次いで起きている。

オバマ米大統領がポーランド滞在を切り上げて、ダラスに向かうほか、米大統領選の各陣営も集会を取りやめるなど波紋が広がっている。

事件を時間軸に沿って整理してみる。


 

、まず、5日、米ルイジアナ州バトンルージュで、黒人男性が警察官に取り押さえられた状態で射殺された。

CNNによると、コンビニエンスストアの外でCDなどを売っていた黒人男性アルトン・スターリングさんは、「銃を持った男がいる」との通報で駆けつけた警官に取り押さえられた状態で数発発砲され、死亡した。ネット上ではこれまでに近くにいた人がそれぞれ別の角度から撮影した動画が2本、公開されている。

2本目の動画では、地面に仰向けになったスターリングさんの左側に警官1人がひざまずき、もう1人の警官がスターリングさんの足にまたがるような形になって、その後銃声が響いている。その後の映像では、スターリングさんの衣服の胸の大部分が血に染まっていた。

発砲後、スターリングさんが左手を顔の方向に動かし、その後胸に手を近づけたところで、警官の1人がスターリングさんの右ポケットから何かを取り出すような動きをしている。警察は、事件当時スターリングさんは武器を持っていたとしている。

 

、続いて、7月6日に、米ミネソタ州で黒人男性が警官に撃たれて死亡する事件があり、車に同乗していた婚約者が直後の様子をビデオで撮影してフェイスブックで公開した。

黒人のフィランド・カスティールさんは車のテールランプが壊れていたことを理由に停止を命じられた。自分は銃携帯の許可証を持ち、銃を携帯していると告げて財布に手を伸ばしたところ、警官に撃たれたという。

同乗していた婚約者のダイアモンド・レイノルズさんは、警官に向かって「あなたが彼を4発撃った。彼はただ免許証をとろうとしていた」と訴えている。

後部座席にはレイノルズさんの4歳の娘が乗っていた。

、ルイジアナとミネソタで,アフリカ系米国人の男性が、あいついで、警官に射殺された事件を受け、警察による力の行使をめぐる抗議や議論が,ワシントンなど、各地で起きた。


、ダラスでも銃撃が始まるまでは、市中心部で平和的なデモが行われていた。
しかし、デモの最中に警官に向けての銃撃があり、様相は一変した。

警察ら12人が銃で撃たれ、5人が死亡した。最初は複数による発砲と思われたが、最終的に襲撃者は一人だったことが判明。

容疑者はガレージに立てこもって警察とにらみ合いを続けたが、長時間にわたる立てこもりの末、警察が起爆したロボットの爆破装置によって殺害された。捜査当局者によれば、マイカ・エグザビア・ジョンソン容疑者に犯罪歴はなく、テロリストとの関係も知られていない。隣人によると、母親と暮らしており、他人との交流は少なかったという。交渉役の警官に対し、最近の警察による黒人射殺事件に衝撃を受けており、警官をはじめとする白人を殺害したかったと述べた。1人でやったとも主張していたという。

マイカ・エグザビア・ジョンソン容疑者は、25才。
退役軍人で、アフガニスタンで約7カ月従軍した後、名誉除隊になっていた。

警察が8日午後に同容疑者の自宅を家宅捜索したところ、爆発物を作る材料や防弾チョッキ、ライフル銃、弾薬のほか、戦闘時の戦術を記した個人的な日記も見つかった。

ジョンソン容疑者は移動しながら銃撃を繰り返す方法について記した犯行宣言を書いており、これに従って銃撃を実行した形だという。同一の建物の複数の階から銃撃を行っていたともされている。

、最初の2件の黒人男性への警官による発砲、殺害に対し、オバマ大統領は滞在先のポーランド・ワルシャワで、2人の黒人男性の死を「悲劇」と形容。「警官による暴行事件は根深い人種対立に根差すもので、米国人は憤りを感じるべきだ」と訴えた。

、しかし、ダラスでの、抗議デモの際中に警官を狙った発砲事件が起こると、オバマ米大統領は、訪問先のワルシャワで、銃撃について「捜査機関に対する、悪意に満ちた計画的で卑劣な攻撃だ」だと指摘。「警官に対するこの種の攻撃やいかなる暴力も正当化できない」として、犯行に関与した者には法の裁きが下るだろうと述べた。

ホワイトハウスは8日、声明を出し、オバマ大統領は欧州歴訪を1日短縮し10日に帰国、来週に初めにはダラスを訪れる意向だと明らかにした。


 

これらの事件の背景には、アメリカが抱える2つの根本的な問題がある。

一つは、『根深い人種問題』だ。

白人警官による、アフリカ系市民に対する行き過ぎた暴力や,発砲事件はこれまでに何件も起こり、1992年には、ロサンゼルスで大規模な暴動にまで発展した。

この時の暴動は、ロドニー・キングを殺害した白人警官に無罪評決が出されたことに端を発したが,それ以前に、アフリカ系アメリカ人の高い失業率、ロサンゼルス市警察による黒人への恒常的な圧力、韓国人店主による黒人少女射殺事件とその判決に対する不満などが重なり、重層的な怒りがサウスセントラル地区の黒人社会に渦巻いていた。そこに無罪評決が出され、黒人社会の怒りが一気に噴出して起きた事件だった。

もう一つは、『銃の規制問題』だ。

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先日、49人の死者を出し、史上最悪の銃撃事件となった、フロリダ州オーランドの銃撃テロにより、再び、「銃規制」の問題が浮上したが、根強いロビー活動等によって、オバマ大統領が進めたいと考えている「銃規制」の動きは、なかなか広がらなかった。

しかし、ダラスでの警官発砲事件でも,もし、銃規制が機能していたら、ここまで被害は広がらなかったはず。
容疑者の家には、ライフル銃や弾薬、爆発物を作る材料まで揃えられていた。
一般人が「身を守るために銃がいる」という社会は、そもそもおかしい。
たとえ、それが、「建国以来のフロンティア精神」にもとづいているとしても。
アメリカはすでにとっくの昔に開拓時代を終えている。

パレスチナ人によるテロが未だに頻発しているイスラエルですら、銃を持てるのは兵士と警察、訓練を受けた警備要員などに限られる。最近一般人が銃を持てるよう、訓練の機会を増やしたりしているものの、アメリカよりはるかに高いハードルを設けている。

きちんとした審査もないまま、殺傷力の高い銃をインターネットで買うことができるアメリカのシステムはこれから、できるだけ速やかに、変えていかれるべきだと思う。

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