松富かおり 公式ブログ

Kaori Matsutomi Official Blog

世界の今と日本

伊勢志摩サミットを終えて

2016/07/12

オバマのスピーチは、民主主義の価値観を共有する同盟国を重視・世界が混乱に向かいつつある今こそ、争いのない世界へ歩を進めるアメリカの決意の表明だった。

President Obama made a very significant speech on the historical visit to Hiroshima. It sounded as a firm resolution of the alliance.

今回の伊勢志摩サミットで最も注目を引いたのは、オバマ大統領の広島訪問だった。日本中が初めて広島を訪れるアメリカ大統領の一挙手一投足、そして一瞬一瞬の表情に見入った。

逆に言えば、「EU諸国の不在」が改めて気になるサミットでもあった。 (こちらについてはまた、改めて)

オバマ大統領に関しては、現職のアメリカ大統領として、できうる限りの誠意を見せてくれた、と感じる。
最初の安倍総理との会談後の記者会見でも、記者が次の質問に移っているにもかかわらず、改めて自分から、沖縄の事件に触れ直し、「心の底からの哀悼(sincerest condolence)と非常に深い遺憾の意( deepest regret )を感じる」と語った。普通、外交の場で聞かれる言葉より、はるかに強い表現だったのでびっくりしたほどだ。
また、「加害者は日本の司法制度で裁かれるべき」との姿勢を示した。これは、沖縄で罪を犯した米兵たちが、きちんと裁かれることなく本国へ移送され、軽い刑で釈放されてきた沖縄の痛恨の歴史への終止符である。

そして広島訪問。国内的に反対の強かった原爆資料館の視察、原爆被災者との心のこもった触れ合いに、心が熱くなった。

そして、「核のない世界へ向けた強い決意を示した所感」。

「71年前の晴れた朝」から始まって、「10万人を超える日本の男性、女性、子供達、数千の朝鮮半島出身者、そして数十人のアメリカ人達の死を悼みます」途中から人類全体の話に拡散し、「広島」を忘れてしまうのではないかと危惧し始めた頃に、「この広島に立つことで、原爆が落ちた瞬間を想像せざるを得ません。あの日、目の前に広がる光景に恐れおののき、混乱した子供達の気持ちに、思いを馳せなければいけません。」と広島での悲劇にもう一度目を向ける。

そして、後段、私をハッとさせた「What a precious thing that is.」という表現で締めくくられる。

「今、広島で、子供達が平和のうちに一日を終えることができる。それはなんと尊いことでしょう?それこそ、守るに値する、そして世界中のすべての子供達に与えられるべきものです。・・・広島と長崎を核戦争の時代の夜明けと記憶するのではなく、私たちが新しいモラルに目覚めた時と位置付けられるような未来をこそ、選択すべきなのです。」

日々のごく普通の生活、その同じ、家族との平和な生活が71年前、この広島にもあったこと。

誰にも、家族との生活があり、幸せを追求する権利があること。

「平和」を実現することは、アメリカ国内ですら、容易なことではない。ましてや世界の中で、それを実現することは難しい。自分が生きているうちに辿り着けないかもしれない。

けれど、今、私たちがそこに向かって一歩一歩進むことに意義があるのだ、という強い主張。

「アメリカの建国理念」から、「現在の世界中の紛争」に思いを馳せ、ある意味では核軍縮だけにとどまらず、平和を希求して前へ進む決意を断言したことには大きな意義がある。

特に、今、ヨーロッパで「人権・人道主義」という近代の価値観がテストされ、大きく揺らいでいる時だからこそ、オバマ大統領のスピーチには大変な重さがある。今、世界で唯一の超大国として、すべての人類へ向けた強いメッセージとなっているのだから。

このメッセージの意図は、単に「核軍縮」だけにとどまらない。

また、単にオバマ大統領の個人的なメッセージでもない。日本が、今のアメリカにとって、最も重要な同盟国である、それをきちんと認識し、これからもしっかりとその絆を強めていく、「アメリカ」という一つの国の姿勢を強く打ち出したものだ。

国内世論の反対を押し切り、広島を訪れ、かつて熾烈に戦った二つの国が、同盟関係だけではなく「友情」をも育んできた。それを一国の大統領が、世界へ発信されることを前提に、スピーチしている重さを感じなければならない。

ロシアがクリミアを併合し、中国が南シナ海で拡張政策をとり続け、中東ではサウジアラビアとイランの対立が日々厳しさを増し、ヨーロッパが移民問題を前に大きく揺さぶられている今、「民主主義」と「法による支配」「平等」という価値観を共有している日本という同盟国の存在が、今のアメリカにとって、あるいは、世界にとって、どれほど重要なものであるか、アメリカの決意を示したものだと思う。

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